僕らの泡沫 1st.イエス、ノー、イエス?

 芸能界の表舞台で生きているとどうしたって偶像を求められる。
 印象を売る商売だとわかってここにいるから、今更、本当の俺を知らないくせに、だなんて感傷に浸らないぐらいには俺にも分別というものがある。事務所の指示で、俺の意思で、世間の声で。俺はいつだって二条幸篤という偶像を演じている。
 最初にこの世界に足を踏み入れたときはまだ何もわかっていない六歳の子供だった。
 両親が芸能事務所を運営していて、あるとき音楽番組の余興として俺が呼ばれた。
 特別、歌が上手かったわけでも演技力があったわけでもない。ただ、所謂「芸能事務所のイケメン社長」の息子を商売の材料として提供した。ただそれだけのことだ。
 父親は別に俺を芸能人にしようとは思っていなかったと思う。
 普通に学校に通わせてもらったし、勉強も運動もそれなりに頑張るように教育された。
 友達も大事にしろ、と教わったのに実は人見知りの俺では深く狭い人間関係しか構築出来なかったが、そのことについても両親は特に何も干渉してくることはなかった。
 ときどき、父親の仕事場に行くと画面の向こうに見る芸能人たちがいたが彼らは「社長の息子」である俺を邪険にすることはない。わかっていたからときどき——本当にときどき、ちやほやされたくて父親の仕事中に事務所に行ったりもした。
 芸能人になりたい、と最初に思ったのは父親の事務所に出入りしている「関係者」の一人がとてもきらきらしていたからだ。彼は雨森哲、という個人の音楽家で俺とはたった八つしか離れていないのにとても大人で格好がよかった。雨森の作る音楽は幅広く、まさに作曲業界のオールラウンダーと言えるだろう。煌びやかな容姿の芸能人と見比べると当然、見た目は劣るのに俺の目には誰よりも格好よく見える。そんな雨森の楽曲を歌う歌手やアイドルたちを羨望の眼差しで見ていることに気付かないほど俺の父親は愚昧ではなかった。
 あるとき「あれの曲を歌いたいのか」と端的に問われる。
 歌うことが出来るのか、と質問に質問を返すと俺次第だ、と父親が答えた。
 それからだ。
 俺は父親の事務所に所属して学業の合間に必死にレッスンを受けた。
 大学までは卒業する。その条件を吞んだ俺の奮闘が評価され、十八歳になる年に俺は雨森の楽曲で五人組のアイドルとしてデビューした。憧れの、キラキラして、なのに綺麗で強くて格好いい、雨森の楽曲に俺は歓喜した。歌で踊りで、演技で舞台で。俺は——俺と仲間たちは見事にトップスターへの階段を駆け上がり、その年の新人賞を総なめにした。
 それから二年が経ち、俺は抱かれたい男性芸能人No1という偶像を纏うことになる。更に二年、その座を防衛した。
 自分で言うのもなんだが、割と整った顔立ちなのは知っていた。
 父親とそっくり、とあちこちで言われるものだから、「イケメン社長」に似ている=イケメン、の方程式で何の疑いもなくその事実を受け入れている。
 偶像を演じる為にいろんな経験をしたし、グループでは格好いいアイドルの担当だからそういう役も多かった。
 紳士的でスマート。クールなのに情熱がある。そんな絶妙な自分を演じながらいつしか俺は気付いてしまった。
 俺が演じているのは雨森哲そのものである、と。
 女性に丁寧に接するのは男として当たり前だと思っているし、そういう振る舞いを出来るように教育してくれたのは他でもない両親たちだが、言葉の選び方、視線の動かし方、ふとした仕草。そういうのは全部雨森の真似をした。
 雨森の面影を演じれば演じるほど俺の人気が高まっていき、次第に俺は俺を介して雨森が称賛を受けている、という妄想を抱くほどになった。
 思えばこのときにはとっくに雨森の術中に落ちていたのだろう。
 音楽家として、俺の仕事を見に来てくれている。スタジオでホールで、ライブ会場の関係者席で。雨森が俺の現場にいることを当たり前だと思っていた。
「哲、今日の俺、どうだった?」
「いいんじゃないか。強いて言えばもう少し感情表現を丁寧にしてくれると助かる」
「例えば?」
「サビの入りがこう、だろ?」
「あぁ。うん」
 認めるところは認めて、なのに更なる改善点を具体的に教えてくれる。
 父親もそういうタイプの社長だったが、雨森は音楽の表現という面では父親よりも少し厳しい。それもグループの為に言ってくれているんだ、と信じていたのにいつからか雨森のレビューを聞くためだけに偶像を演じている自分に気付いてしまった。善意に個人的な打算で挑んでいる自分が最低すぎて雨森の顔が真っ直ぐに見られないぐらいまで拗らせて、ようやく俺は知った。
 この感情が、特別な想いなのだと。
「アツ、さぁ。もういい加減諦めなよ」
「いい加減、告れって」
「純愛拗らせてハンザイシャになるなよー」
「ドンマイ、アツ!」
「——っ! お前ら、他人事だと思いやがって!」
 音楽番組の生出演が終わって五人一組の楽屋に戻ってくるなり、メンバーが揶揄ってくる。明日は俺の誕生日で、この後、ファンミの打ち合わせを予定していた。再度顔ぶれを揃える手間を省くために、テレビ局側が好意から楽屋を貸してくれる、というのでその温情に甘えている格好だ。
 彼らは俺が雨森に片思いしていることに気付いていた。しかも、俺が自覚するよりかなり前の段階から。
「アツ、俺らが分かってるってことは哲さんにもばれてるってことだからな?」
「いいじゃん。もうこの際、アソビの恋愛楽しめよー」
 雨森の観察力は高い。まるで空気を全て把握しているのじゃないかと勘違いするぐらいには俺たち一人ひとりのことをくまなく見ているところがある。そして、彼はとてつもなくクールだから野暮なことを指摘してこないだけで、俺の気持ちに気付いている、というのも大体は同意出来た。
 ただ。
「わかってる——じゃなくて! 遊びの恋愛とか普通に言うなよ! アイドルだろ!」
「アツー、真面目も大事だけど現実も受け止めなー」
「初穂。流石に遊びの恋愛は僕もどうかと思うけど、拗らせて社会的信用失う前にどうにかした方がいいのは同意する」
 アイドルはイメージ商売だ。
 でも、俺たち「五摂家」はファンが恋人、というスタンスのアイドルではないから恋愛をするのは自己責任だと社長である父親から通告されている。つまり、俺が雨森に告白して、恋愛関係に発展しても契約上何の問題もない。
 拗らせすぎて重いやつになって、引き返せないところまで来て、仕事に影響を出す前にさっさと行動しろ、というのがメンバーたちの総意らしい。
 本当に俺としては不本意でしかないが。
「っていうかさぁ、アツは哲さんのどこが好きなわけ?」
「えっ? はぁ?」
「そーそー。あの人超マイペースじゃん。もし付き合えても、なんか楽しくなさげじゃね?」
「初穂、それ以上哲のことディスったら弁当の梅干し二度と食ってやらねぇからな」
「えっ! ちょっ! アツ! それはヒキョー!」
「はいはい。アツも大人げないこと言わない。初穂も好き嫌いいい加減やめなよ」
「俺は——!」
 別に本当に鷹司の弁当の梅干しを拒否したいわけでもないし、くだらない報復をしたいわけでもない。
 ただ。雨森のことを悪く解釈されたくないだけだ。
 そのことが既に恋は盲目状態なのだと気付いていたが、俺は気付かない振りをしていた。
 本当は知っている。
 雨森にとって俺は数多いる「楽曲の納品先」の一つで、彼は仕事が丁寧だから俺たちのパフォーマンスを見に来てくれるだけだ。わかっている。
「——もし、告って哲の歌を歌えなくなるのが嫌なだけだ」
「哲さん、そういうのしなさそうなタイプっしょ」
「そーそー。あの人仕事の鬼だから、シジョー?をはさんでくることねーって」
「あと、個人的に俺としてはお前の愚痴をこれ以上聞きたくない」
「それは僕も同意。何? 抱かれたい男性芸能人のディフェンディングチャンピオンなのに今更恋愛童貞なのばれたくないとか?」
 言いたい放題、散々けなされても本当に否定されている、とは感じない。絶妙な加減で揶揄ってきているだけで、本音は心配してくれているのもわかる。わかるが。
「——お前ら、デリカシーとかいう機能を標準搭載してからアイドルやり直してくれ」
 言い方、という概念を学んでほしい。そう伝えると十億年後に検討すると鷹司が快諾した。要するに俺に遠慮をする気など毛頭ない、ということだ。
 純情でもなく、破天荒でもない。ビジネスパートナー的な距離感でもないし、どちらかといえば多分五摂家のメンバーは悪友と表現するのが一番適切なのだろう。
 そんな悪友たちが願っているのは俺の玉砕ではなく、円満な未来なのはわかっている。
 それでも。生まれて初めて憧れた人に好意を告げるのはなかなか勇気が必要で、もし、たくさんのうちの一つとして受け流されたとしたら、俺はどんな気持ちになればいいのかがわからない。
 それを表すのが恋愛童貞という言葉ならそれでいい。
 それでも。どうしても。雨森の特別になりたい。あの広い世界の特等席に座りたい。
 そして。雨森が誇れるような俺自身になりたい。
 ただ、それだけなのだ。
「それだけ、って言うなら言いにくればいいじゃないか、二条君」
「あんたにそれが言えるなら俺はこんなところで悩んだり——えっ? 哲……!」
 仲間たちに向けて心中を吐露していただけの筈が、気付いたら渦中の男がいる。
 ナチュラルに会話を続けそうになって、我に返った俺の頭の中は真っ白だ。
 どうして、と、なんで、と、はめられた、を無限に反復して善後策を講じることも忘れる。
 どうしよう、このままでは俺の人生は破滅へ一直線だ。聞かせるつもりじゃなかったから全く何の格好もついていない。人生初の愛の告白が騙し討ちで終わるだなんてダサいを通り越して無様だ。
 もっと、ちゃんとシチュエーションを整えて——いや、そんなことに拘泥している場合じゃない。
 今しなくてはならないのは雨森の誤解を解くことで、そうして自らの心の傷口に塩を塗り込んでまで俺は現状維持を望もうとしていた。残念なことに俺は業界でも屈指のポーカーフェイスで、こんなに頭の中がぐちゃぐちゃでも表情は平坦そのものにしか見えないだろう。仲間たちと両親と——そして背後に立った雨森哲だけが俺の感情の振幅を正確に見抜く。わかっている。表情に出ていなくても俺の動揺を見抜けないやつはここにいない。絶望の強さに意識を手放してしまいたいぐらいだった。
「九条君、メールありがとね。おかげで面白いものが見られたよ」
「哲、違うんだ……違わないけど、いや、やっぱり違うんだ……」
「二条君。じゃあ俺の身勝手な願望が幻聴になったのか? それはそれで面白い。俺はいつだって君の一番になりたかったんだからね」
 その言い分ではまるで雨森が俺に対して気がある、とでも言わんばかりで頭の中がぐちゃぐちゃだ。
 一番になりたい? そっちにその気なんてないくせによく真顔で言えるものだ。
 雨森哲を知らない業界人なんて今やガラパゴスと言われても何の反論も出来ない。
 正当な報酬を支払えば誰にだって楽曲を提供するし、雨森はレコード会社の組織すら無視する。
 個人音楽家で確定申告も納税もスケジュール調整も全部自分一人でこなしてしまうこの不世出の天才のことを知らないで業界を渡っていくことは出来ない。雨森が曲を提供するドラマの脚本を書きたい演出家なんて石を一つ投げただけで日本庭園の錦鯉よりなお集まってくる。
 だからだろう。最近ではスタッフが全部揃ってからでないと内部的にすら雨森が主題歌を書くと発表されない。
 その中で、デビュー曲からずっと一貫して雨森の楽曲を歌い続けている俺たち「五摂家」のことを悪し様に罵るやつがいることを俺も知っている。それでも俺たちは屈しなかったし、そのうえでファンも付いた。雨森は何も変わらず俺たちに曲を書いてくれる。それだけでも十分奇跡なのに、こいつは余裕そうな不敵な笑みで俺の失態を弄ぼうとしている。 
「哲、あんたらしくもない悪趣味な冗談で対抗してくるのはやめろよ」
「冗談? 君には俺が冗談が言える男に見えるのか?」 
「言えるだろ! あんたは、そうやってあっちこっち期待を持たせて遊んでるくせに、よく言う」
「遊んでなんかいないさ。俺は人を褒めるのが好きなだけで、他意はないし——」
「ないし?」
「君がちゃんと期待してくれてて最高の気持ちさ」
 俺の楽曲には愛があっただろ? 歌っている君にちゃんと届いていて何よりだよ。
 どうしてこいつはこうも歯が浮くようなセリフを連発して真顔で言えるのか。
 気恥ずかしいとか、白々しいとか思ったりしないのか。
 いや、それ以前に。
「——っ! だから!」
「おっと。雰囲気が雑なのはお好みに反するのかな? じゃあ仕切り直してこういうのはどう?」
 感情を持て余して半ば腹立ちさえ覚えながら後背の雨森を振り返ると、五摂家の仲間が雨森越しにわくわくした顔で状況を見守っている。まるで五摂家の楽屋だということすら知らないと言わんばかりに雨森が洗練された態度ですっと身を折る。
「二条幸篤君。御父君には君が二十二になったら好きに口説いていい、と許可をもらってるんだ。おっと、そろそろ日付が変わるね」
 ハッピーバースデー。俺の愛の沼に落ちた気分はどう?
 言いながら、雨森はジャケットのポケットから深いグレーの色をしたベルベットの箱を取り出して片膝を付く。
 そしてまるでそうすることは自然だと言わんばかりに箱を俺の方に向けて開いた。
 その中には俺の誕生石を戴いた美しいプラチナの指輪が鎮座している。昔から経済的に豊かな人生を送ってきたと自負している俺にとって、この指輪が質の悪い冗談で用意出来る額かどうかは一瞬で判断出来る。
 これは、ガチじゃないと買えないやつだ。
「——哲、あんた、本気……なのか?」
「いやぁ、流石に十年も待つのはなかなかに骨が折れたよ」
 君の御父君はなかなかに聡明だね。十年も待たせれば諦めると思っておられたらしい。
 加えて昨今の若者の精神的成長も加味している。なかなか組織の長としていい器だ。
 雨森は彼の倍は生きているだろう俺の父親を勝手にそんな風に解釈した。
 俺と雨森の十年はずっと付かず離れずでまともに会話をしたのは小学生の頃が最後だ。
 それはちょうど十年前の記憶で、あの頃、急に雨森が遠く離れてしまったのは俺に興味がなくなったからだと思っていた。なのに。雨森はそれは思い違いだと言う。
「今まで、ろくに祝ってくれなかったくせに」
「そう? じゃあ君の見落としだ。十回分の俺のプレゼントを思い出の中から探してほしい。これがまず一つ目の宿題」
「宿題——?」
「そう。そしてこれから君への課題。俺の愛の告白への返事は? イエス? ノー?」
「ほ、保留ってあるのか?」
 イエスと即答したいところなのに頭がめちゃくちゃでとても判断が出来ない。
 雨森のブラックジョークだったらどうしよう。
 誕生日のサプライズで本気じゃなかったらどうしよう。
 なるほど、俺は確かに恋愛童貞そのものだ。
 演技の上では美少女や美女を翻弄してきたくせに、自分のこととなると全く正常な判断が出来ない。
 躊躇って勢いで返事をしないぐらいには俺も社会人だ。
 持ち帰って検討する。を提案すると雨森は柔らかな笑顔で承諾した。
「いいよ。別に。保留ね。じゃあ、二つ目の宿題ってことで」
「いいのかよ!」
「二条君。よく考えてみたまえよ。十年待つのも十年三か月待つのも十一年待つのももうこの際、誤差だろ?」
 おじさんのときの流れはゆったりしているのさ。
 泰然と笑いながら言う雨森はやっぱりどうしてもルックス以上の格好良さを持っていて、この笑顔を自分だけのものにしたいと思った。既にそうなっている、ということを知らないのが俺だけだなんて思わずに。
「最後の宿題なんだけど」
「——何だよ」
「はい。俺の部屋の合鍵。腹括れたら宿題の答えを言いに来てくれ」
 指輪が入っていたのとは逆のポケットから一本の鍵が登場する。
 ご丁寧にキーホルダーが付いているのを見ると五摂家の俺のパーソナルカラーのリボンで、更によくよく見るとこれはデビューした年の公式グッズだと判明する。どうやってこれを雨森が手に入れたのか。
 関係者に手配させたのか。或いは自分で会場の物販に並んだのか。もし後者ならいつから雨森は俺のことが好きだったのだろう。俺が彼を好きだと自覚するのとどちらが先だったのか、不毛な根競べをしてみたい気もしたが、その前に一つおかしい点を指摘せずにはおれなかった。
「あんた、これ、イエスかはいが前提条件の質問になってるぞ」
「ノーかいいえの答えが必要なのか?」
 擬音が必要なら、きっと「きょとん」が正解だろう。
 まるで俺が否定を紡ぐことを想定していない雨森の態度に俺は嬉しさともどかしさの両方をいっぺんに感じる。
「どんだけ自信家なんだよ!」
「君の見たままだよ」
「——チッ」
「じゃあ、二条君。俺は次の現場があるから。二十三時には帰宅するからシャワーは早めに浴びてくれてもいいよ」
「だから! なんで! イエスかはいしかないんだよ!」
「グッドラック。よい誕生日を」
 美辞麗句を並べ立てる才能において俺が雨森を超越することは決してないだろう。
 イエスかはいしかない質問を一方的に置き去りにすると雨森はまるで嵐が去るかのように楽屋を出て行った。
 残された俺がため息を、五摂家のメンバーが大爆笑を生じさせるまであと五秒。
 アツ、ばれてんじゃん。鷹司の無遠慮な笑い声に居心地の悪さを覚えたのはきっと、多分。これから俺がイエスかはいの回答をしに雨森の自宅へ行くとばれているからだろう。
 そんなばつの悪さを抱えながら、結局、一日中俺は雨森のことを考えながらファンミに出た。
 どんな顔で雨森の自宅を訪れればいいのだろう。完全に据え膳になりに行く自分のことをちょろいやつだと思いながら、それでも俺にとっても雨森にとっても十年以上拗らせた感情だから、きっとそう簡単にはぐれたりはしないだろう。そんな風に言い訳をして、自分を説き伏せて。一つ目の宿題はしばらく解決出来そうにないが、残りの二つなら何とかなるかもしれない。
 誕生日の二十一時にメンバーやスタッフと解散して、そこから向かう先の景色を俺はまだ何も知らない。