全てが満ちているか、あるいは全てが欠けているか。
「わたし」が選べるのはそのどちらかだと「彼女」は言った。「わたし」の人生にあったのは無だけで、全てが欠けている。答えを迷う必要は微塵もなかった。有を。全てが満たされた有を。「わたし」の人生が有るという充足を「わたし」は願った。
答えを聞いた「彼女」は微笑んで言う。
なら、この世の全てはあなたのものね。と。
その響きの何と甘なることか!
「わたし」のもの。「わたし」が持っているもの。「わたし」の望みを満たしてくれるもの。この全てが「わたし」のものなら。
さぁ、世界の全てを「滅ぼしてしまおう」!