誰も教えてくれなかった。何が真実で何が虚構なのか、も。何が正解で何が誤りなのか、も。誰も「わたし」に教えてくれなかった。
正しさなんて知らない。美しさも気高さも知らない。
それでも「わたし」はここに在って、自分自身を認識する。
そもそも、それが「正しい認識」なのかすら、「わたし」に教えてくれる「誰か」はいなかった。
「わたし」はここにいる? 本当に? 「わたし」がそう思っているだけで「わたし」なんてどこにもいないのじゃないか。
恐怖が「わたし」を蝕んで離さない。
ああ、誰か。誰でもいい誰か。
「わたし」の非を詰る言葉でも構わない。「わたし」のことを見つけてくれる誰かは一体どにいるのだろう。